1067.怪しい名前(2022.4.25掲載)
先日、コラーゲンの健康食品素材を製造するメーカーが訪ねてきた。 「これからは魚のコラーゲンですよ」 原料は何なの? 「イズミダイのウロコです。マクドナルドのフィレオフィッシュを加工している工場からウロコを回収しています」 なんか怪しい。 そもそもイズミダイはタイの仲間ではなく、ティラピアという正式名称を持つアフリカ原産の淡水魚。 現在のJAS法でタイと呼べるのは、マダイ、クロダイ、キダイ、チダイの4種のみとなっていて、「イズミダイ」だと表示違反になる。 かと言って、表示が「ティラピア」のコラーゲンなんて売れないだろうな。なんだか妖怪みたいだし。 他にも、JAS法に則れば「銀ムツ」は「メロ」、「アマダイ」は「キングクリップ」、「シロスズキ」は「ナイルパーチ」で「クロカンパチ」は「スギ」という正しい名前で販売しなければならない。 幼時、町内に必ず1軒はあった魚屋さんとの会話で魚の名前を覚えた伝統的魚食民族にとって、やっぱり「メロ」は受け容れがたい名前である。 食べると結構おいしいが、「奥さん、いいナイルパーチ入ってるよ」じゃ、威勢のいい朝の風景が、あぶない秘密パーティーみたいになってしまう。 ということで、魚コラーゲンは購入せず。 マクドナルドのフィレオフィッシュでイメージアップを図ったセールストークだったが、実際にマクドナルドが使用している魚はティラピアではなく、「アラスカンポラック」というスケトウダラの一種。 いたるところ怪しい名前の輸入魚ばかりなのである。
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