1142.ジューシーエックス(2023.10.23掲載)
博多すぃ〜とん、鹿児島OX、バルツバイン、TOKYO−X。 これらは全て豚のブランド名である。農耕や運搬に利用された牛や馬と違い、食用のみを目的とした豚はおいしさ追求の品種改良が繰り返され、現在、国内に200以上ものブランドが存在するという。 とんかつ屋さんで、「トーキョーエックス、サクッと揚げてくれる」てな感じでオーダーするのもかっこいいな。 豚肉といえば沖縄を連想してしまう。 出張で沖縄に行った時、地元の人に豚の耳(ミミガー)や足(テビチー)を「おいしいよ」と勧められたが、あれはきつかった。少しだけつまんで残したら、「もったいない」と私の分まで完食した。 さすが室町時代から豚を食べている琉球人。牛肉の10倍以上あるビタミンB1もたっぷり摂取。 しかし、総務省の家計調査によると、沖縄の1世帯当たりの豚肉購入量は年間20.4kgで全国31位。耳や足は肉としてカウントされないのかな。 豚肉といえば、東京のイメージが強い。 東京の家庭で豚肉を食べるようになったのは明治時代後半と遅いが、明治28年に銀座のレストランで初めて出されたとんかつがきっかけとなり、豚肉は急速に庶民に浸透していく。 江戸っ子はとんかつの衣と肉をはがし、肉を酒の肴に、ソースを吸った衣はご飯に混ぜて食べたという。1枚で2度おいしいごちそうだったのだ。 東京にはとんかつ屋さんが多いが、私が20代の頃住んでいた埼玉県川口市の寮の隣もとんかつ屋さんだった。 ラードをブレンドした油で揚げたトーキョーエックスはとてもとてもおいしく、動物性タンパクを求めるハングリーな胃袋に吸い込まれていった。 給料日のジューシーエックスは最高だった。
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