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歓送迎会が増える年度末、巷で「酒乱御三家」と呼ばれる「教師、医師、警察官」の宴席に乱入する機会を得たが、どの会場も噂にたがわぬ盛り上がりだった。 この3つの職業の不名誉な二つ名は、聖職者のストレスゆえか、はたまた理想と現実のギャップを酒で埋める逃避行か。当事者にしかわからない懊悩を詮索するつもりはないが、御三家のエースである教師の実情を教育評論家の尾木直樹先生が語っていた。 教育と教師像の変遷を学園ドラマ年表で論じていたのだ。小生の成長とも重なるクロニクルだった。 1972年、村野武範主演「飛び出せ!青春」。青い三角定規が歌う主題歌「太陽がくれた季節」が妙に耳に焼き付いている。この頃の大学進学率は約24%で教師は尊敬の的。学歴社会が形成される真っ只中で、受験競争に勝ち抜かせるのが教師の役目だった。 1979年、武田鉄矢主演「3年B組金八先生」。伝説の番組だが、現役教師は「あんな先生いるわけがない」と番組に背を向ける。大学進学率は約37%に上がったが、多くの保護者は、暴力生徒を抱きしめ共に涙する熱血教師をリスペクトした。 2002年、仲間由紀恵主演「ごくせん」。いじめ、不登校、学級崩壊、モンスターペアレントなど、熱血教師ではとても手に負えず、任侠集団の跡取り娘という「スーパー教師」的設定となった。大学進学率約44%。高学歴の保護者が増え、教師の地位は落ちた。 2012年、榮倉奈々主演「黒の女教師」。もはや通常の学園ドラマが成り立たなくなった。大学進学率約51%。筑波研究学園都市の高校で化学を教える知人が異常に参観日を恐れていた。父親の多くが博士号保有者で、「最新の学説だとその反応はおかしい」というような突っ込みがあるのだとか。 尾木先生のコメントにはないが、2025年の学園ドラマ「御上先生」は、文科省の官僚がスーパー進学校に教師として派遣される話。エリート集団の教室をうらやましく思いつつ、格差社会の増長を想像してしまった。 つくづく、若き日に勉強しておけばと思った次第である。
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