483.ブルー・オーシャン(2010.8.23掲載)
今年こそハワイでバカンスという計画は妄想に終わり、自宅で読書三昧の夏となった。妄想の名残で青い海に引き寄せられ、「ブルー・オーシャン」なるマーケティング戦略を学んだ。 それは、W.チャン・キム氏とレネ・モボリニュ氏が共著「ブルー・オーシャン戦略」の中で提唱した考え方で、競争すら存在しない未知の市場に自社の固有技術をぶつける戦略。競争もルールもない未踏の市場を、深くて広い「青い海」になぞらえたのだ。逆に、飽和市場で過当競争を繰り返す現状は、骨身を削る血の海「レッド・オーシャン」らしい。 そりゃ、血で血を洗う泥仕合より、碧海のただ中を気ままに漂う独占状態がいいに決まっている。 例えば、セガトイズの家庭用プラネタリウム「ホームスターアクア」。浴室で星空を楽しむ20〜30代女性を対象にした癒し系玩具で、3990円。あえて機能を落とし、30〜40代の男性天体マニアから「青い海」にターゲットを変更してヒットした。 自動車エンジン部品メーカーのミクニが販売するパーソナル加湿器「ちょこっとオアシス」も成功事例だ。自動車産業という「血の海」を捨て、エアコン部品技術をオフィスの個人向け加湿器に活かして累計130万個販売のヒット商品となった。 なるほど、まばゆいばかりのブルー・オーシャンではないか。 そういや、ハワイの魅力もブルー・オーシャン戦略の成功譚のような気がする。つまり、幼い日に体感した夏祭りの浮かれ気分を、カラカウア大通りで大人向けに再現したのがハワイのコンセプトなのだ。 縁日の屋台はブランドショップに変わり、浴衣はアロハシャツになれど、あのお祭り気分は完全に国境を越えた。しかも、それが毎日続くのだから、パラダイス以外の何ものでもない。 公私ともに「青い海」で羽を伸ばすイメージを胸に描きつつ、氏神様に詣でた夏休みなのであった。 ================================================================ セガトイズとミクニ情報の出典は、日経消費ウォッチャー2010年8月号です。
|
column menu
|