986.失敗のスケール(2020.9.14掲載)
トム・フィリップス著の「とてつもない失敗の世界史」を読んだ。きっかけは秀逸な推薦文。 「あなたは失敗でくよくよ悩んでいないか?メガトン級の大失敗列伝!人類はなぜヘマを繰り返してきたか、救いようのない人間のあんぽんたんぶりを思い知るための、あまりにユーモラスな本」 あんぽんたんは捨て置けない。 まず、1859年にイギリス人が植民地だったオーストラリアにウサギを24羽持ち込んだ話。 どうってことのない数と思われていたのだが、ウサギの繁殖力をなめてはいけない。持ち込まれてから60年後の1920年、ウサギの数は100億羽になり、在来の動植物が絶滅の危機に瀕したのだ。 野生動物の移動はこわい。 間違うはずのないNASAにも、あんぽんたんな過去があった。1998年、火星の周回軌道に入るはずの探査機が地表に落下した。原因は単位の違い。NASAの部品はメートル法で管理されているが、委託を受けた業者がヤード・ポンド法だった。 これに気付かず、3億2700万ドルが火星のゴミになった。 地球温暖化も世界規模の失敗であり、台風巨大化や砂漠エリアの拡大につながる深刻な問題。また、2016年8月には猛暑でシベリアの永久凍土が溶け、眠っていた炭疽菌が活動を再開して12歳の男の子が死亡するという驚きの惨事も発生した。 失敗から学べとよく言うが、これらの事例はスケールが大きすぎて学びようもない。けど、あんぽんたんにはなりたくない。 なぜなら、あんぽんたの語源はフランス語の「アポンタン」ではないかといわれており、これが「男性の役立たず」の意味らしいから。 やはり、スケールの大きい話なのである。
\\\\
|
column menu
|