998.真夜中の牛乳(2020.12.7掲載)
今年2020年は閏年だった。 地球が太陽の周りを一周する時間は365日5時間48分46秒。この端数を修正するため4で割り切れる年を閏年(366日)とするが、ちょっとおつりが来るので100で割り切れて、400で割り切れない年は平年となる。 例えば、4でも100でも400でも割り切れる2000年は閏年だが、4と100で割り切れて400で割り切れない2100年は平年。グレゴリオ暦と呼ばれるこの暦を使えば、ズレは1万年に3日で済む。 太陽の周期が1年より少し長いように、人間の身体も実際は25時間周期で動いている。これは、サーカディアンリズムと呼ばれる体内時計の周期の影響。 よって、閏年で日数調整するように、昼食後軽く昼寝をすればサーカディアンリズムがリセットされ体調が良くなる。逆に、光のない洞窟でしばらく生活すると、1時間のズレがたまって昼夜が逆転してしまう。 このような体内時計を仕切っている物質が、メラトニンと呼ばれるアミノ酸の一種。睡眠誘導ホルモンともいわれるメラトニンは、夕方から増加しはじめ真夜中にピークを迎えた後減少に転じ、朝となる。 また、メラトニンは牛乳にも含まれるため、寝る前にホットミルクを常用する人も多い。 そこで、夜の長いフィンランドのナイトミルク社は考えた。人間と同じで牛さんのメラトニンも真夜中にピークを迎えるはずだから、夜中に搾った牛乳を飲めば快眠できるのではないかと。 事実、真夜中の牛乳は通常牛乳の2〜4倍のメラトニンを含み、開発担当者を安眠へといざなった。 イグノーベル賞級の素晴らしい発想である。 その後、大塚製薬がこの技術を導入し、「nemu(ネムー)」というネーミングで真夜中牛乳を商品化したが、今はない。 コロナ禍で学校が休校になり牛乳が売れないらしいが、巣ごもりストレスで眠れない人のために、「真夜中の牛乳」を再発売してもらいたいと願うのである。
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