1040.理想の和食(2021.10.11掲載)
1975年の和食が理想の栄養バランスだといわれている。 それまでの古典的な和食は高塩分で粗食だったが、ここに洋風メニューが加わり、栄養成分が満たされた。 当時の平均摂取カロリーは2226キロカロリーで肥満率17%。その後、洋風化が進み過ぎた2005年は1904キロカロリーながら肥満率30%。 過度な洋風化は脂肪分過多となってしまうから、1975年がちょうどいい塩梅だったのだ。 1975年といえば、あの大阪万博から5年後。 万博を契機に食生活が洋風化したが、同居していた祖父母の嗜好にメニューを合わせていた我が家では、沖縄海洋博の後も、つくば科学万博の後も、野菜サラダに醤油をかける食卓は変わらなかった。 データ上、大阪万博以降に急増した食品は、マヨネーズである。 1960年に150gだった1人あたりの年間マヨネーズ消費量は、1970年に1090gに増加(現在は1600g)。マヨネーズは、食卓洋風化の急先鋒だったのだ。 そこで、二匹目のドジョウを狙ったキユーピーは「丘比(キユーピー)」なるブランドを中国で立ち上げ、2010年の上海万博にぶつけ、売り上げを伸ばした。 職場の中国人は、「中国人は絶対マヨネーズを好きになる。卵と酢と油が主成分のマヨネーズは中華料理に合うはず」と断言する。恐るべしキユーピー、恐るべし丘比。 かつて、わが実家の食卓にマヨネーズが初登場した1975年頃、祖母が「キユーピー」の「ユ」の字が小文字になっていないことを指摘した。洋風化に反対した祖母の単なる難癖だったのかもしれないが、皮肉にも、その後祖母はマヨネーズにはまることになる。 キユーピーと丘比。食卓を変えてしまう恐ろしいブランドなのである。
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