1041.赤身で早起き(2021.10.18掲載)
地球上の多くの生物は、1日周期の体内時計を持っている。 人間の体内時計は約25時間周期であり、光の情報を頼りに1時間の時計のズレを修正している。だから、真っ暗な状態よりカーテンを開けて朝日を浴びた方が、目覚めがいい。 そして、最近の研究で、食事にも時計を調整する機能があることが明らかになってきた。 マウスに脂肪分の多い餌を与えると、23.5時間周期の体内時計が長くなり、生活のリズムが乱れる。 また、餌に高脂血症治療薬を混ぜると周期が3時間程度短くなり、早起きになる。さらに、この餌を遺伝的に朝寝坊するマウスに摂取させると、普通のマウスと同様の生活パターンに戻る。 つまり、食事によって脂質代謝を変化させるだけで、体内時計も動くことがわかったのだ。 脂っぽいものばかり食べていると、ぐうたら生活になってしまう。思い当たるふしはある。締めの焼肉は胃の負担だけでなく、目覚めにも影響していたのだった。 刺身はどうだろう。中トロ大好きの小生、爽快な朝を迎えるためには赤身にも手を出すべきか。 戦前の日本ではマグロは赤身が極上とされ、「アブ」と呼ばれるトロは見向きもされなかった。みんな早起きな時代だった。 また、当時の食事は塩分がかなり高かったが、この高塩分食にも体内時計を早める働きがある。 「朝だ夜明けだ潮の息吹 うんと吸い込むあかがね色の 胸に若さの漲る誇り」 月月火水木金金の艦隊勤務は、低脂肪と高塩分の食生活が支えていたのかもしれない。 今後、食事と体内時計の研究が進むと、国際線の機内食が時差ボケを防ぐメニューになり、提供時間も工夫されるに違いない。 加齢とともに赤身肉が好きになり、目覚めも早くなる今日この頃である。
\\\\
|
column menu
|