1103.昭和のシェアハウス(2023.1.16掲載)
低賃金高物価時代を乗り切る秘策として話題に上がるのが、サブスクやシェアリング。特に、物欲の欠如したZ世代に響くのがシェアではないか。 ある調査機関のレポートによると、「誰かとシェアしたいモノ」アンケートのベスト3は、別荘やリゾートマンション、アウトドア用品、ダイエット器具となっていた。 ダイエット器具が選ばれた理由は、たぶん途中で挫折して邪魔になりそうなモノだから。三日坊主もシェアだな。 具体的なビジネスとしてよくマスコミに取り上げられるのは、カーシェアリングやシェアハウス。 特に、シェアハウスはTVドラマの舞台としてよく使われ、恋愛や友情が交錯する新世代の社交場として華やかに描かれている。だからちょっと憧れる。 首都圏の利用実態は20〜30代の社会人単身者が主流で、その7割が女性。共用部分はキッチン、台所、風呂など水回りくらいであとは個室。家賃は一般物件と変わらないが、共用部分があることを考えると居住空間を有効利用できるのが魅力らしい。 けどこれって、昔の学生下宿と同じじゃないか。「青雲荘」てな感じのネーミングに今にも倒壊しそうな木造ニス塗りのたたずまい。風呂はないが、台所とトイレは共用。ケータイのない時代だから赤電話の共用も必須だった。 共同炊事場のジントギ流し台の横にはコイン式のガスコンロがあり、ガス玉と呼ばれるコインを1枚10円前後で購入してご飯を炊いた。コンビニもマックもないのだから、自炊しないと生きていけなかった。 現代のシェアハウスの魅力として「話し相手が常にいる」ことが挙げられているが、昭和の学生下宿の炊事場には会話なんてなかったけどな。 低成長時代まっただ中の日本。循環型社会のお手本として江戸時代がよく取り上げられるが、シェア社会のお手本としての昭和も、忘れてはいけないと思うのである。
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