1102.おにぎり(2023.1.9掲載)
おにぎりが登場するシーンで号泣してしまう映像作品が2つある。 まず、2003年の映画「壬生義士伝」。 鳥羽伏見の戦いに敗れ、瀕死の重傷を負った盛岡南部藩出身の新撰組隊士吉村貫一郎(中井貴一)は、旧友の家老大野次郎右衛門(三宅裕司)を頼って南部藩の屋敷に逃げ込む。 次郎右衛門は自ら台所でおにぎりを握って貫一郎に与える。貫一郎はおにぎりを手に取り、「うめべなー」とつぶやき旧友と故郷を思い出し涙するも、家族に残したいと食べずに最後を迎える。 そして、2006年にフジテレビで放映された「ちびまる子ちゃん」実写版。 まる子(森迫永依)が、遠足のお弁当を諸事情の果てに一人さみしく食べるシーンが泣きどころ。 「みんなと楽しく食べると思って一生懸命にぎってくれたのに、一人ぼっちで食べてるなんて知ったらお母さん悲しい顔しちゃう。お母さん、おいしいよ。でも、しょっぱいね」 こんな情緒たっぷりのおにぎりだが、芯具材を供給する加工食品メーカーにとってはビジネスチャンスの宝庫。 売れ筋おにぎりになると1店舗の販売個数が1日約10個。2万店のチェーンだと、20万個分の芯具材が売れることになる。 たかだか1個5gの芯具材が、1日1000kg、1年間で365tに化ける。kgあたり1000円の芯具材なら、売上3億6500万円のヒット商品となるのだ。 おにぎりは弥生時代の遺跡からも発掘され、平安時代には「屯食(とんじき)」という名で食されていた日本最古のファーストフード。 ビジネスも情緒もたっぷり芯に詰まった伝統食品なのである。
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