1126.弱小校の夏(2023.6.26掲載)
夏の甲子園の季節がやってくるたび、われわれ弱小高校出身者は肩身の狭い思いをする。 ああ、一度でいいから甲子園で校歌を歌ってみたい。「毎年夜行バスで甲子園に連れて行かれて大変だった」とか、「今年も甲子園出場で卒業生対象の寄付金集めが来ちゃったよ」てな感じの贅沢な話をしてみたい。 わが母校は地区予選1回戦敗退の常連校だが、決して甲子園をあきらめたわけではない。強豪校と同じように丸坊主で厳しい練習をこなし、昼休みにはグラウンドにトンボをかけ、修学旅行も我慢して青春のすべてを野球に捧げているのだ。 ところが、校舎の耐震工事を行った際、プレハブの仮設校舎を神聖なるマウンドの上におっ建ててしまい、教育委員会が腰を抜かすという「事件」が起こった。高野連も同窓会も絶句した。やはり、学校側にとって甲子園は二の次だったのか。 そもそも強豪ひしめく愛媛県は、夏の甲子園の都道府県別勝率が6割3分5厘で6割6分9厘の大阪府に次いで2位。熾烈な地区予選を勝ち上がるのはなまなかではない。 やはり甲子園で校歌は夢物語か。ただ、高校生のやることだから何が起こるか分からない。そう、何が起こるか分からないデータを見つけた。 スポーツ統計学の専門家の解析によると、甲子園のイニング別の平均得点は9回が最大(プロ野球は1回が最も得点が多い)。また、4点以上のビッグイニングになる確率は、各イニング0〜3%だが、9回だけは7%と激増する。 高校野球はリリーフ不足で、先発投手が9回まで投げ抜くことが多いという事情はあるが、やはりドラマは最終回にやってくるのだ。 あきらめてはいけない。9回裏まで頑張れば甲子園が待っているぞ。 そんな妄想に胸を熱くしながら、今年も1回戦で完全燃焼する卒業生たちなのである。
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