1131.情報(2023.7.31掲載)
先日、昭和20年8月10日から15日の間、世界がどう動いたかを特集するテレビ番組を見た。 大東亜戦争の終結を目前にし、情報が錯綜する様子が見事に描かれていた。 一般的に、終戦の日は玉音放送が流れた8月15日だが、世界は8月10日に日本の降伏を知り、動き始めていた。本土決戦を避けるため、鈴木貫太郎首相が短波ラジオでポツダム宣言受諾を発信したからである。 つまり、日本人だけ情報から取り残されていたのだ。 この短波放送を受信したアメリカはすぐに動き、ソ連との覇権争いで優位に立つべく「占領政策はマッカーサーが統括する」と宣言した。ドイツの占領政策でスターリンに東ドイツを取られたトルーマン大統領が先手を打ち、巻返しを図ったのだ。 同じ頃、ベトナムではホーチミンが、インドネシアではスハルトが、そして、中国では毛沢東と蒋介石が誰よりも早く情報を入手し、独立に向けて動き始める。 80年弱経った今でも、この教訓は十分生かせる。いかなる状況下でもいち早く情報を入手し、分析し、行動するのだ。 例えば、食品業界ではライバルメーカーどうしが同じような新商品を前後して発売する場合が多いが、先行を許した2番手は必死で情報を集める。ライバルの新商品を入手し、分析し、追随商品を開発するのだ。 この間、最短で1ヶ月。仮に特許が絡んだ商品でも、申請した特許が公開されるまでに1年半、正式に登録されるとなると5、6年後となるから、商品寿命を考えれば十分間隙を縫える。 情報収集の成果かもしれないが、追随した2番手メーカーの方が美味しい場合がけっこうあるし、シェアと品質の相関もあまりない。 情報戦争のあと、低価格戦争と販促戦争を勝ち抜いた2番手商品の動向を、注目したいものである。 8月15日が近づくたびに思うことなのである。
\\\\
|
column menu
|