1132.応用力(2023.8.7掲載)
日本で小中学生を対象とした学力テストを実施すると、たいてい「知識はあるが応用は苦手」と総括される。 お受験詰め込み教育全盛の昨今、応用が苦手なのは仕方がない。学生時代に詰め込んだ基礎力はいつか必ず花開くのだ。 ただ、応用力がないと社会に出てから確実に路頭に迷う。「胆力、人脈、応用力」が全てともいえるビジネス道のうち、最も差がつきやすいのが応用力。 そこで、我が職場の新入社員研修では、学生ボケの眠りを覚ます応用力テストを実施する。 「電線の鳥はなぜ落ちないのか?」「流れ星に託す願いはなぜ叶うのか?」「コロンブスがアメリカ大陸を発見できたのはなぜか?」「ウサギとカメの寓話におけるウサギの敗因は何か?」…等々。 しかし、こんな講釈より早く確実に応用力が身に付く訓練法がある。 それは、料理をさせること。どんなに簡単なメニューでも、知識だけでは絶対にうまくいかない。 「原価50円以下のかけうどんを50分以内に無添加で作れ!」 原材料の準備と片付け、だし取りと麺ゆでの段取り、調味配合と原価計算、全工程通しての安全衛生、そして当然ながらおいしいこと。新人でなくても修羅場である。 もっと修羅場なのが、日清食品が新任管理職を対象に実施している2泊3日の無人島研修。 米、小麦、チキンラーメンだけを無人島に持ち込み、火起こし、食塩作りからトイレの設営までをサバイバルに行うのだ。最終日には応用力、自活力が身に付き、チキンラーメンのありがたさに感極まるらしい。 うどん実習も無人島研修も、頭の中にある知識を「食べる」という本能に向けて昇華させる作業。 食品業界に身を置くなら、他業界以上に応用力を磨かなければならないのである。
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