1136.エンジョイベースボール(2023.9.11掲載)
エンジョイベースボールの慶応旋風で夏の甲子園が幕を閉じた。 長髪の球児を見て、丸坊主根性野球に青春を捧げた昭和の野球小僧はどう思ったのだろう。 教育の一環という錦旗の下、不条理な部活動で野球が嫌いになったおっさんにとって、慶応ボーイはまぶしすぎた。 ふと、小学校1年生の時、道徳の教科書に掲載されていた「星野君の二塁打」という物語を思い出した。 同点の9回1死1塁で打順が回ってきた星野君は、監督の送りバントのサインを無視してヒッティング。見事2塁打を放ち1塁ランナー生還で勝利に貢献したのだが、サインを無視したことを監督から強く叱責され、その後レギュラーを外されるというストーリー。 さて、星野君の行動は許されるのか否か。 団体競技なのだから、いくら結果がよくてもサイン無視は厳罰、という話を当時の担任がしていたような気がする。 50年前はそういう時代だったのかもしれないが、失敗しても生徒を責めないという慶応の監督が聞いたら間違いなく気絶するな。 ならば商品開発もエンジョイだろう。 上司の指示を無視して勝手に配合を決めた新商品がヒットしても、エンジョイした開発部の星野君は絶対に干されない。結果が全てのこの世界、逆に上司も喜ぶ。 つまり、「星野君の二塁打はエンジョイ意思決定の結果だから大正解」というのが令和の模範解答。 高校卒業後、「二度とボールに触れたくない」と語っていた昭和の甲子園球児の顔がふと思い浮かんだのである。
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