1155.遅メシダイエット(2024.1.29掲載)
国立健康・栄養研究所などの研究グループが、全国の女子大生1744人を対象に実施した調査によると、食べる速さが「とても速い」と答えた人は、「とても遅い」と答えた人より平均で5.8キロ体重が重かったらしい。 あらためて、「早メシは肥満の元」が実証されたのだ。 この調査での新発見は、早メシの人ほど食物繊維の摂取量が少なかったということ。食物繊維の少ない食事は食べやすく、早メシが加速。満腹中枢が機能する間もなく必要以上に食べてしまう。 私は食物繊維の多い食品を好んで食べるが、早メシである。 昭和40年代、しゃべりながら食べるとぶん殴られる食卓で育ち、数少ない肉を兄弟で奪い合った当然の帰結として、早メシである。今でも食事は10分以内。無言で食べる。集中して食べる。 だから、2時間もかけて食べるフランス料理のフルコースが耐えられない。「早く次の料理持って来い」とクレームをつけたことが何回もある。くやしいが貧乏性が抜けきらないのだ。 フランス料理のスタイルが確立したルイ王朝の頃、貴族にとって食事は数少ない娯楽のひと時であり、2時間なんてあっという間だった。 クラシックのコンサートも2時間、オペラも2時間。ついでに江戸時代の一時(いっとき)も2時間。2時間は優雅な時代の1単位だったのだ。 たしかに、育ちがいい人ほど遅メシかもしれない。優雅に食べて5.8キロ体重が落ちるのなら一石二鳥。けど、本当においしいものをカウンターで食べる時は絶対早メシ有利である。 揚げたてのキスの天ぷらをペロリ。にぎりたての中トロをペロリ。吉野家の牛丼をペロリ。出された瞬間が最高の味。だからカウンターで食べる。だからすぐに食べる。 痩せるからといって、遅メシにする予定は全くないのである。
\\\\
|
column menu
|