1164.家康(2024.4.1掲載)
徳川家康を描いた大河ドラマが終わって、ちょっとさみしい。 考えてみれば、江戸時代は太平の世が260年も続いたわけで、継続性と安定性という観点から見れば、徳川幕府の政権能力はものすごく高いということになる。 一方で、明治維新から現在に至る156年は、その間に3度の参戦と65人の総理大臣。 徳川幕府の何がよかったのか。 ビジネスの常套句に「業績は体質の結果である」というフレーズがあるが、実際、業績のいい企業は多くの場合受付や事務所が地味で、「お金を生まないところにお金をかけない」という倹約体質が細部にまで浸透している。 先日訪問した高収益企業も、5兆円という売上ながら事務所の蛍光灯全てにひも式のスイッチがぶら下がっていて、席を離れる時は必ず消灯していた。儲かるはずだ。 ならば、徳川幕府はどうだったのか。幕府の体質が推測できるリーダー家康の金言を紹介する。 「自分は単なるケチとは違うのだ。乱世で将兵たちが疲労している時に、自分だけぜいたくができようか。自分が倹約に励めば、その分を合戦の費用や将兵の手当に回せる。戦乱続きで苦しんでいる農民たちをいたわることにもなる」 「命は食べ物に支えられている。人間の健康には飲み食いが大切で、ただ食べればよいというのではない」 「いつも美味なものばかり食べていてはうまくも何ともなくなる。日常の食べ物は軽いものがよく、美味は月二、三度でよい」 すばらしい。質素倹約を実践しつつも、食にはこだわる。家康が現代の経営者なら、地味ながらも高収益な企業体質を築いていたに違いない。 そして、経営者家康は紙袋を提げてエコノミークラスに乗る。高価なブランドバックがお金を生むわけではないし、到着時間が同じならエコノミーで十分。 こんな費用対効果の感覚が、徳川安定政権につながったのではないかと思うのである。
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