1195.俳句王国
我が愛媛県松山市の俳句熱はかなり熱く、小学校入学と同時に国語の授業で俳句を作らされる。 そして、夏休みの宿題として提出した俳句の中から優秀作品を選び、学校単位で全国規模のコンテストにエントリーするのだ。 幼時より当たり前のように句作を強いられてきたわけだが、これを他県の出身者に話すとかなり驚かれる。 一度、俳句甲子園を見てみればいい。従来の文芸部のイメージを覆す、けっこう体育会系なイベントで楽しいぞ。 先鋒、次峰、中堅、副将、大将と1作ずつ俳句を披講し交互にディベート。生半可な知識では議論に勝てない。判定後の審査員の講評もかなりきびしい。 俳句を作りたくなったら、まずはプロの作品を鑑賞してみよう。兼題として食品が使われている句に絞って紹介する。 「太陽は野菜畑にころがしとけ」作者不詳 こう毎日暑いと、太陽はもういいやと思ってしまう。けど、野菜たちのためには欠かせない光。太陽には、野菜畑でしばらくくつろいでいてもらいたい。 「茄子焼いて冷やしてたましいの話」池田澄子 この季節、焼き茄子を水につけて皮をむく母親の姿が思い出される。きっとお盆には、ご先祖様の話なんかしながら皮をむいていたに違いない。 「結局みんなおふくろ定食竹の秋」飯島晴子 なんだかんだ言っても行き着くところはおふくろの味。「竹の秋」は、竹の子に栄養を取られて枯れたように見える竹を指す春の季語。 「ふっくらと炊かれて栗も栗虫も」作者不詳 これからは栗ご飯もいい。秋祭りと栗ご飯はセットだな。栗虫を炊いてしまってもクレームにならない長閑な時代が懐かしい。 「何をくよくよれんこんの穴は穴」 不条理な毎日だが、悩んだところでれんこんの穴は消えないし、問題は解決しない。何とかなるさの境地である。 食品をこんな感じで切り取れたら、素晴らしいではないか。 今年は句作の秋にしようと思う次第である。
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