1243
最近、接待の会食が増え、締めのラーメンも災いして体重が平時を大きく上回っている。 それまでは、長寿遺伝子が活性化するがごとくストイックな日々を送っていたのに、連日の食道楽で「食い中風」になってしまった。 食いしん坊はご愛嬌だが、食い中風はまずい。人はなぜ食べることをやめられないのか。 米国スクリプス研究所のケニー博士は、ラットを使った脳研究で過食の原因を解明しようとしている。 ラットが標準的な餌を好きなだけ食べられるようにした上で、ソーセージやチーズケーキ、チョコレートなどの高カロリー食を並べたカフェテリアを用意したところ、ラットは薄味で健康的な餌には目もくれずカフェテリアのごちそうを爆食した。そして、肥満体になった。 その後、摂食中のラットに光を当てて警告し電気ショックを与えると、薄味の餌を食べているラットはすぐに立ち去ったが、肥満ラットは警告を無視して高カロリー食をむさぼり続けたのだ。 食の快楽が自衛本能を上回る食い中風状態だが、我々はラットを笑えない。ほぼ全ての肥満者が食事量を減らすと宣言し、過食が健康に悪影響を及ぼすことを知りながら食べ続けるのだから。 かく言う小生も、昨年の大晦日は夕方にざるそば食べ、その後の宴会の締めでかけそばを食べつつも、年越しの「日清そばどん兵衛」をつゆまで残さず完食した。 こうなると意志の弱さや自制心の問題ではなく立派な中毒状態であり、アルコールや薬物依存症と同様の研究が必要である。事実、快楽物質エンドルフィンの働きを遮断すると、ラットの過食は止まる。よって、肥満と依存症は同じ方法で治療すべきだという説もある。 まあ、食事と薬物を一括りにするわけにはいかないが、ケニー博士のおかげで自身の意志の弱さがごまかせるのならありがたい話だ。 暮れまでには元の体重に戻し、健康な年越しを誓うのである。
\\\\
b
column menu
b