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日本製の時計が海外で好評らしい。 製品そのものもいいが、個人的にはセイコーが2005年に発売した男性用高級スポーツウォッチ「ガランテ」の開発ストーリーが好きだ。 「セクシーリッチ」をコンセプトに掲げ、40歳代のニューリッチをターゲットにしたガランテの開発チーム5人は、商品イメージを練り上げるため、なんとヨーロッパ合宿を敢行したのだ。 イタリアや南フランスの高級リゾート地を訪れ、ある時は高級ブティック、カジノ、レストランなどでリッチマンの腕時計を観察。またある時は自身がセレブ気分に浸り、南欧の空気を感じる。その結果として、250枚のデザインスケッチを描き上げた。 実にうらやましい。あっぱれセイコー。やはり、セレブの時計はセレブにならなければ作れないわけだ。 しかし、よくよく考えてみるとヨーロッパ合宿のプレッシャーは相当なものだったと思う。あらかじめ、ある程度デザインイメージを固めて(保険をかけて)渡欧したのかどうかは定かでないが、超ハイリスクハイリターンな出張であることには違いない。 もし私が、「スタッフ4人と自由にヨーロッパを食べ歩き、高級加工食品のアイディアを250件出せ」と言われたらどうするだろう。出張稟議書を書く手が震え、行くに行けない状況に陥るのではないか。 かつて、「上海3日間食べ歩き」を開発部員研修に取り入れていた食品メーカーがあったが、5年でやめてしまった。新商品開発という面では、研修の効果が全くなかったらしい。生理的欲求が満たされる健啖研修は、ヒット商品を作るというハングリー精神を麻痺させてしまうのではないか。 懐の深いセイコーと、ガランテの開発に憧れてしまうのである。
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