168.赤レンジャー(2004.5.10掲載)
ひと頃、黒い食品が流行っていた。黒酢、黒酒、黒ごま、黒豆、黒豚…。黒い食品は、医食同源の中国で最もヘルシーとされる色。黒米、黒ごま、黒かりん、黒豆、黒松の実を黒五と称し、「楊貴妃の美容食」「不老長寿の抗酸化力」等のコピーで珍重されてきた。 次は赤らしい。 赤ほうれん草、赤かぼちゃ、赤ピーマン、赤豚、赤米、赤酢、トマトにスイカ。喫煙者がベータカロチンを摂ると、発がんリスクが増大するという不気味なデータもあるが、総じて赤は、ビタミンAやカロチン、リコピンの供給源としてヘルシーなのである。 服や化粧品同様、食品の色の流行にも仕掛け人がいる。 不景気だから威勢のいい赤がいい。 赤はオレンジの次に食欲をそそる色。 こどもは赤くて丸いモノに吸い寄せられる(アンパンマン)。 仕掛け人は、いろいろ講釈を付けて利権の絡む食品を販売せんとするのである。そして、緑、黄、紫などの食品たちは、順番待ちに息を潜める。 しかし、本来赤は完熟の色である。動物たちに種子を運んでもらうため、種子の準備ができた時期に、一番おいしい状態にして、一番ヘルシーな成分にして、一番記憶に残る色を用意しただけなのだ。おいしくて健康にいいのは当たり前。わざわざ仕掛なくても、本能的に人は赤を選ぶと思う。 編隊モノの元祖「ゴレンジャー」も、リーダーは赤レンジャーだったのだから。
|
column menu
|