167.プロの壁(2004.5.3掲載)
プロとアマチュアの違いについては、さまざまなジャンルで議論が交わされているが、本稿ではこれまでに筆者が直接賜ったプロ語録を紹介し、その壁の高さを実感してみたい。 文章のプロ。40年にわたる新聞記者生活を終え、今は文章上達教室を主宰する65歳曰く、「物書きはサービス業です。読者を持ち上げてなんぼ。アマチュアの文章はひとりよがりだからすぐにわかる」。うーん、自戒。 ビリヤードのプロ。プロテストの合格基準は、ボーラードゲーム(ビリヤードの球をボーリングのピンに見立ててポケットするゲーム)の3試合合計が630点以上。プロ歴10年の42歳曰く、「入らない球は狙わない」。当たり前のようだが難しい。アマチュアは「外してもともと」と難球を狙う。プロは「外しては元も子もない」と難球の場合、手球を隠して相手のファウルを誘う。 野球のプロ。友人の兄が2年間だけプロ球団に在籍。一度聞いてみたかった質問をぶつけた。「プロ野球のキャンプは音楽なんか流したりして楽しいんでしょ。選手も笑ってるし」。現在草野球オタクの46歳曰く、「練習はアマチュアの100倍キツイ。それでも笑ってしまうほど野球が好きなバカの集団がプロだ」。好きじゃなきゃ続かないってことね。 料理のプロ。有名ホテルの調理場を渡り歩き、今は料理アドバイザーの55歳曰く、「ぎりぎりまで塩をふれるのがプロの料理人」。味付けにしてもだし取りにしても、アマチュアは失敗を恐れ、ピークのかなり手前で火を止めてしまうらしい。プロはこれ以上やるとまずくなる限界点を知っている。 相撲のプロ。かつて陸上自衛隊相撲部で国体出場したうどん屋のおやじ。プロ経験はないが、1メートル80、100キロ、外見は親方の60歳曰く、「ゴルフなんかだとアマチュアがプロに勝つこともあるが、相撲のプロは絶対にアマチュアに負けない。以前、二子山部屋の序二段とやったことがあるが、全く動かなかった」。ごっつぁんです。 プロの壁5態。お客様第一で、危険を冒さず、笑うほど仕事を愛し、限界を極め、絶対に勝つ。 語録を明日の糧としたい。
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