170.自己完結類ながら属小麦科(2004.5.24掲載)
関東と関西の食文化の違いを論じる場合、醤油の違い(濃口と淡口)、だしの違い(かつお節と昆布)、水の違い(硬水と軟水)など、どうしても味の面から切り込んでしまいがちであるが、食卓メニューという観点から比較してみると意外な傾向が見えてくる。 ある調査会社が、メニューの出現率で東西を比較した。その報告によると、関東で出現率の高いメニューは、味噌汁、サラダ、納豆、のり、漬物、佃煮。対して関西で出現率の高いメニューは、食パン、菓子パン、うどん、お好み焼き、たこ焼き。見事なまでの関西ジャンク傾向、いや小麦粉傾向。ごはんに味噌汁、のりに漬物という、いわゆる日本の食卓は関東限定となってしまったのか。 特に意外だったのは食パン。スーツを着ながらトーストを牛乳で流し込むサラリーマン像は、東京近郊の朝の定番だとばかり思っていたのだが、その実、朝食における食パンの出現率は関東の27%に対し、関西は45%。なぜ関西人はパン食なのか。 わが身を振り返ってみても朝はトーストである。 理由その1。トーストなら自分ひとりで準備して食べることができる。思考回路定まりかけ、前夜のアルコール抜けかけの朝は、一人がいい。 理由その2。トーストなら片手でOK。新聞を読みながら食べるには、ごはんよりトーストの方がいい。 理由その3。トーストなら小麦粉でんぷんだから急いで食べても消化吸収がよく、栄養効率がいい。小麦粉は費用対効果を重んじる関西人向き。 ということで、朝食の傾向から関西人を分類してみたのが本稿のタイトルである。 「自己完結類ながら属小麦科」。 かなり強引な分類なのである。
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