218.使わない勝手(2005.5.9掲載)
先日、五反田のキャッツシアターで、ミュージカル「キャッツ」を観劇した。40代にして初キャッツ、初感動。360度女性客に囲まれて浮きまくるネクタイ姿の疲れたおっさん状態だったが、とにかく行ってよかった。他のミュージカルと違い、運動会が終わった後のような達成感を伴う感動があった。 キャッツシアターは専用劇場だけに内装もかなり手が込んでいて、客席自体がダウンタウンの「ネコ社会」に紛れ込んだようなつくりになっている。けど、当然ながらキャッツ以外の公演には使えない。使わない時はどうするんだろうと、田舎者的余計な心配をしてしまった(連日キャッツ公演で埋まっているので問題なし)。 使わない状態の心配をしたのにはわけがある。それは、最近「使わない勝手」を意識した商品開発が活発化しているから。 例えば、日本ビクターの小型ビデオ「エプリオ」の開発者は、「ビデオなどでは、『使い勝手』よりも使わずに持ち歩いている時に苦にならない『使わない勝手』の方が重要だ」と語り、カシオのデジタルカメラ「EX−S100」の開発者は、「使わない時でも身につける『ウェアラブル』が基本コンセプトだ」と表現している。なるほど、そう考えると折りたたみ傘は、元祖「使わない勝手」商品だな。 ならば、食品の「使わない勝手」はどうか。使わない時に品質劣化しないよう袋にチャックを付ける。冷蔵庫に収納しやすいサイズにする。常に食卓に置いてもらえるデザインにする…。食品の開発者も考えてないわけではない。 けど、食品にはもっと手っ取り早い「使わない勝手」問題の解決策がある。それはご存知「使いきりサイズ」。少量パックの一回分。使いきりサイズの商品化は、使わない勝手を考えるより単純明快。 そして、最近のキャットフードの売れ筋かつおパックも、1袋3gの使いきりサイズなのであります。
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