258.ジャガイモ前線異常アリ(2006.2.27掲載)
昨年、カルビーポテトチップスが発売30周年を迎えた。 30年前の初登場は衝撃的だった。近所の「かどみせ」でいつも買っていた、透明袋入りポテトチップス150円(メーカー不明)の隣に、えんじ色のカラフルなパッケージで100円。びっくりした。気のせいか、味も垢抜けていた。 以来、テレビの前で主役を張り続けて30年。現在、ポテチ全体の市場規模2000億円、全メーカーのジャガイモ使用量32万トンとなったのである。 これだけ膨大な量のジャガイモなのだから、もうとっくに輸入物に手を染めていると思っていたのだが、どっこい国産100%で頑張っていたみたいである。ていうか輸入禁止だった…去年までは。 ジャガイモの旬は、九州で5〜6月、関東で6〜7月、東北が7〜8月で北海道が7〜10月と全国を駆ける。この「ジャガイモ前線」にあわせて、ポテチメーカの購買部はジャガイモを調達するのだが、どうしても2〜6月の間は端境期となり、味が落ちる貯蔵品を使わざるを得ない。 そこで、農水省は業界の陳情に応じ、今年の2月1日に「端境期の2〜6月に限定してポテチ加工専用の米国産ジャガイモの輸入を解禁する」と発表したのである。 もともとこの輸入制限は、ジャガイモの害虫や病気を国内に入れないための措置だったことから、解禁とはいえ「周囲に畑がなく、港に隣接した工場で加工すること」という制限付きである。そして、この条件を満たす工場が、広島県のカルビー廿日市工場だけ。 同工場で加工した米国産ジャガイモは業界全体でシェアするらしいが、カルビーに有利な状況であることは間違いない。 年中新ジャガチップス状態が本当にいいことかどうかは不明だが、「ジャガイモ前線異常アリ」の2006年ポテチ業界なのである。
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