300.食育出前します。(2006.12.25掲載)
一年の総括として、日経流通新聞社発表の2006年ヒット商品番付を見たが、今年も食品は不発だった。 東の横綱が「デジタル一眼レフカメラ」で、西の横綱が「ショッピングセンター」。大関は東が「ICきっぷ」で西が「軽自動車」。食品は、東前頭2枚目にやっと「プレミアムビール」が登場するが、これはビールメーカーならではの派手なプロモーションが奏効した商品であり、一般加工食品とは縁遠い世界。 そこで、2006年食品業界私的ニュースとして、「食育出前オファー急増」を自薦したい。 昨年7月に「食育基本法」が施行された当初は特に大きな動きはなかったが、この年末にかけて、食育に関する出前依頼が数多くあった。来年実施予定の企画を2つ紹介する。 その1.小学生に授業 小学5年生を対象とした、「かつおだしで味噌汁づくり」という家庭科の出前授業。魚屋でカツオを買ってきて、それが固いかつお節になり、薄い花かつおになり、おいしい味噌汁となる様子を体感してもらう。食文化と水産物の流通と調理が学べる楽しい家庭科。 NHKの人気番組で、有名人が母校で授業をする「課外授業ようこそ先輩」というのがあるが、まさに恐いもの知らずの有名人気取り。「目を輝かせる小学生」をイメージするも、「だしの素の方がおいしい」とキレられないか不安。 その2.高校生に授業 教育委員会の長老が「早寝・早起き・朝ごはん」というキャッチコピーが印刷された名刺を差し出し、「栄養バランス授業を出前して下さい」。「私でいいんですか?」という感じだが、朝食の欠食率と模擬試験の成績に相関関係があったりするものだから、お役所も必死である。 栄養バランスのお手本は私が高校生だった1980年の食事で、炭水化物、タンパク質、脂質のバランスが61.5%、14.9%、23.6%と理想的。ちなみに、1960年は脂質不足の貧乏食で2002年は脂質過剰のぜいたく食。80年代風のおふくろの味を食べ、栄養バランスを実感してもらう授業なのだ。 食育の基本は、「自分で自分の健康を守り、豊かな食生活ができる力を育てること」であるが、現実的には、ホンモノとニセモノ、いいバランスと悪いバランス、おふくろの味と外食の味などの選択肢を認識することではないか。 「食育出前」の番付入りを目指し、授業の準備に精を出す年の瀬なのである。
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