319.答えは問題の中にあり(2007.5.14掲載)
先々週の連休、ひょんなことから従兄弟の子供(高1)に現代国語を家庭教師する羽目になった。中学時代に得意だった国語が高校入学と同時に失速。まったくわからなくなったらしい。 「俺でいいの?」 「理系的観点から現文を教えてほしい」 まだ高1とはいえ、将来の進路を左右しかねない現文読解。まずは「教える前に教われ」ということで、高校時代の大恩師を訪ね、読解のコツを教えてもらった。 伝授してもらったポイントはただ1つ。「答えは問題の中にあり」だった。 評論も小説も高校の現文は難解であり、答えの選択肢もまた悩ましい。それだけに全国模試なんかになると、問題作成者は全国国語教諭からのクレームを最も恐れるらしい。誰もが納得する解答。それすなわち「問題の中にあり」。問題文の中にない選択肢を外し、問題文の中に登場するキーワードを含む選択肢を選ぶ。これだけである。 答えは問題の中にあり。この哲学的ともいえる法則は、全ての仕事に共通するセオリーなのかもしれない。 「犯人は必ず現場に戻る」「野球場にはお金が落ちている」「ヒットのネタは市場にあり」…。 最近の食品業界の意外なヒットも、問題の中に答えを見出したものが多い。 例えばテトラパック+ストロー。OLは、オフィスでペットボトル飲料をあおる行為に抵抗があるが、テトラパックにストローをさして飲めば顔を上げずに地味に飲むことができる。よって、オフィス立地のコンビニはテトラパックの品揃えが多い。 例えばボトルガム。オフィスの引き出しにそっとしのばせ、ストレス解消につまむボトルガム。伸び悩んでいたキシリトールガムが、ボトル入りにした途端昨対120%で大ブレイク。銀紙をはがすという単純な行為でもオフィスでは抵抗があり、ボトルの中から気軽につまむ罪悪感のなさが問題解決のポイントとなった。 仕事とは、問題解決の連続である。高校生も、問題解答の日々である。 あの日の授業は、今日のためにあったのではないかと、ちょっとだけ思った。
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