324.映画ネタ(2007.6.18掲載)
ここ数年、「1年間に映画と本を合わせて50本(冊)こなす」というノルマを自らに課している。 これは、映画1本と本1冊は、ほぼ同じレベルで自らを高めてくれるという自説に基づいた極めて私的なこだわりであり、当然ながら仕事上プラスになったかどうかはわからない。 しかし、である。映画の1場面をヒントに開発した新商品が大ヒットしたという事例が、「日経新製品ウォッチャー」の6月11日号に紹介されていた。 その商品は、ライオンの殺虫スプレー「バルサン 氷殺ジェット」。化学物質などの殺虫成分を使わず、冷却成分で害虫を凍死させる安全性がうけて高価格なのに大ヒット(既存品の100〜200円高)。マイナス40℃のLPガスと液体のイソペンタンで、害虫は完全に凍死するらしい。すばらしい。 ヒントにした映画は、アーノルド・シュワルツェネッガーの「ターミネーター2」。ターミネーターがマイナス200℃の液体窒素を浴びて凍結し、粉砕される場面を見てひらめいたらしい。本当にすばらしい。 ユニバーサルスタジオのアトラクションで、氷殺ジェットとターミネーターを共演させたいくらいだ。 氷殺ジェット開発者のセンスに嫉妬しながら、映画と食ネタについて考えてみた。 「タイタニック」で、レオナルド・ディカプリオが落ち着いて食べられなかった、招かれざる上流階級のディナー。 「ゴッドファーザー」で、マーロン・ブランドを囲んだイタリア料理とマフィア一家の団らん。 「男はつらいよ」で、渥美清が「とらや」の居間にひさびさ戻ってきて食べた里芋の煮っころがし。 「007 ロシアより愛をこめて」で、ショーン・コネリーが偽イギリス人を見破った、舌平目のムニエルと赤ワインの組み合わせ。 名作映画の食シーンを思い浮かべながら、新商品ネタをさがす。 氷殺されないよう、ヒット祈願の毎日なのである。
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