374.PB時代(2008.06.16掲載)
加工食品の値上げが相次ぐ今日、スーパーやコンビニの店頭で勢いを増しているのがプライベートブランド(PB=自主企画)である。 ナショナルブランド(NB)が値上げしてもPBは価格据え置きの場合が多いし、メーカーの販促費や広告宣伝費が含まれていないPBはそもそも安い。カップ麺の場合だと、NBが130円前後であるのに対し、PBは80円前後。これは売れる。 PBは中身が低グレード、という邪推があるかもしれないが、バイヤーや消費者の厳しい眼を欺くことなどできるわけがない。包材のコストダウンはしても中身の味を落とすことはなく、多くはNBと同品質である。もちろん、メーカーは泣いているが…。 PBの歴史は、1980年に「無印良品(西友)」と「セービング(ダイエー)」で幕を開けた。その後無印良品は独立し、PBからNBへと進化した。対して、セービングは2008年に廃止。先駆者の光と影を教訓にしつつ、現在は「セブンプレミアム(セブン&アイ)」と「トップバリュ(イオン)」の2強時代となっている。 売上目標はセブンプレミアムが3200億円で、トップバリュが7500億円。そして、野心は無印良品のようなNB化。実際、中国カルフールからトップバリュを店舗で売りたいとの要請もあるらしい。 PBがNBになるということは量販店が「メーカー」になるわけで、そうなると、これまで商品を製造していたメーカーは下請けに格下げ。またまたメーカー悲哀時代の到来か。 どうせなら、この2強にクルマのPBなんかも販売してもらいたい。セブンプレミアムのセダンが実はトヨタ製で、価格は3割安。ただし、ボディーカラーはセブンプレミアムのイメージカラーである緑のみ、なんてことになったりして。いやいや、世界最強のメーカーがPB仕事を受けるわけがない。 PB全盛時代を迎え、強いメーカーでありたいと願うばかりなのである。
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