392.連想ゲーム(2008.10.27掲載)
昭和40年代、小学生時代の土曜夜7時半、茶の間のテレビは決まって祖母の好きなNHKの「連想ゲーム」だった。 キャプテンの出すヒントを手がかりに、答えの単語を見つける男女対抗戦。高齢者にもわかる単純なゲームが受け、22年間続く長寿番組になった。番組出演が縁で、大和田漠と岡江久美子が結婚した。 そして今、自身は研究開発の世界で実務的連想ゲームを強いられ、いかに独創的で稼げる答えを導くかに腐心する日々なのである。 そんな平成20年10月13日の月曜夜10時、NHKスペシャル「月と地球 46億年の物語」で壮大な連想ゲームによる最新の研究成果を知り、めちゃくちゃに感動した。関わった研究者がうらやましかった。 それは、こんな連想ゲームである。 まず、月探査機かぐやが撮影した月表面画像を見て、クレーターの数と大きさをカウントする。これが、小惑星の衝突によるものではないかと仮定し、火星と木星の間にある小惑星群の数と大きさを、ハワイのすばる望遠鏡でカウント。みごとに両者の度数分布が一致し、小惑星の衝突が証明されたのだ。月と地球が誕生して6億年後、今から40億年前に木星の地軸がずれて起こったことらしい。 つぎに、この結果から生命誕生を連想する。月に衝突したように、全体が海で覆われていた地球にも小惑星は衝突したわけで、その衝撃で小惑星に多く含まれていた鉄が触媒となり、水、炭素、アンモニアを素材としてアミノ酸ができたというのだ。この仮説も、小惑星衝突を再現した実験系で証明されつつある。 月のクレーターが40億年前のアミノ酸生成につながり、生命誕生の謎が解ける。 科学者冥利に尽きる連想ゲームなのだ。 筆者も負けじと連想ゲーム。 中国山峡ダムの建設で土砂が流れ、海が富栄養化してエチゼンクラゲが異常発生。 ならばこのクラゲを肥料と保水材にして中国の土に返し、森林緑化に貢献すればクラゲの発生も減り、すべて解決。 白組の加藤芳郎キャプテンに笑われそうな、しょぼい連想ゲームなのである。
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