391.発見(2008.10.20掲載)
今年のノーベル化学賞が、下村脩先生の「緑色蛍光タンパク質の発見」に決まった。 この受賞が励みになった化学者は、かなり多いと思う。なぜなら、本受賞は下村先生がオワンクラゲの発光物質を発見したことが評価されたわけであり、その後の医学分野への応用は、同時受賞者2人の業績である。 つまり、自然界から生理活性物質を発見し、構造決定するという地味な研究も、その物質が他分野で応用され科学の発展に貢献すれば、発見者にノーベル賞受賞のチャンスがあるということになるのだ。 かくいう私も、7年前の2001年11月26日の本稿第45号「キヨサン」で、清原和博選手(当時は巨人)から少年の心化合物を発見し、「キヨサン」と命名すると宣言していた。 キヨサンの応用範囲は広い。目標を見失い生活に疲れた中年がキヨサンを摂取すれば少年の心がよみがえり、人生に輝きが戻る。また、垢にまみれた腹黒政治家に投与すれば駆け出し時代の純粋な大志を思い出し、ふたたび熱き青年政治家に戻る。 また、キヨサンは寿命にも関わってくる。職業別の寿命を調べると、ダントツで長寿なのが画家と生物学者であるが、2つの職業の共通点はお絵かきと昆虫採集という少年の心を生業としていること。キヨサンに寿命延長効果があれば、ノーベル賞受賞は確実である。 しかし、である。清原選手は引退してしまったのである。10月1日の引退セレモニーに心ふるわせた夜、少年の心化合物キヨサンの類縁体が、我が涙腺からこぼれ落ちたかもしれない。 そこで、今後は少年の心化合物の抽出対象を横綱朝青龍関にしたい。清原選手と朝青龍関の両者を生応援した経験のある方ならわかると思うが、ドームや両国で両雄が登場する際の声援はその日一番のテンションであり、ボリュームや内容もよく似ているのである。 だから、新規化合物「アサゼキ」の発見を目指すのである。
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