405.アスパルテームでコーヒーを(2009.2.2掲載)
新春11日に放送されたNHKスペシャル「惹かれあう二人、すれ違う二人」で、男女間の恋愛を脳科学で解き明かす試みを紹介していた。 恋をすると男女とも脳内にドーパミンが大量分泌され、快楽を得る。同時に、判断や批判を司る脳の機能が抑制され、「あばたもえくぼ」状態に陥る。これがはまった状態。ただし、ドーパミンの大量分泌は3年しか続かないという怖いデータもある。 また、盛り上がっていても脳内ではすれ違いが起こっている。恋愛時、男性は視覚野が活性化され、子孫繁栄にかなう相手かどうか女性を目利きするが、女性は記憶野が活性化され、男性の言葉に偽りはないか、過去の甘いトークとの齟齬はないかと審査する。女性が記念日にこだわるのは、将来を委ねる生活力の有無を会話から判断しているからなのだ。 会話は大事である。 番組では、もめる会話の基本パターンを紹介していた。それは、批判→防御→見下し。 「何で君はこうなんだ」「そんなことないわよ」「君は知らないかもしれないけど、これって常識なんだよね」 どこかで聞いたことのある展開だ。こうならないためにも男性は問題解決型のトークを捨て聞き役に徹すべし、と心理学の大家は語っていた。 ついでに、本稿からの提案として、アスパルテーム入りのコーヒーを飲みながら会話を楽しんではどうだろうか。 砂糖の200倍の甘味があるアスパルテームはアミノ酸由来の人工甘味料で、フェニルアラニンのメチルエステルとアスパラギン酸が結合したもの。味の素が製法特許を保有し、「パルスイート」という商品名で販売している。実はこのフェニルアラニン、単独で存在すると体内で快楽物質ドーパミンに変わるのだ。 ただ、アスパルテームは体内で分解も代謝もされないらしく、フェニルアラニン経由でドーパミンまでたどり着けるかどうか定かでないが、甘味料が甘いトークの一助となるなら、それに越したことはない。 気の利いた会話と恋の必須アミノ酸の力を借り、3年の壁を乗り越えなければならないのである。
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