442.ダチョウマスク(2009.10.26掲載)
新型インフルエンザ対策に関する情報が錯綜している。 キムチが効く。ヨーグルトを20日間食べると抵抗力が増す。麻黄湯はタミフルより効果的等々。 とりあえず季節性インフルの予防接種を済ませ、麻黄湯とタミフルを常備して様子をうかがう今日この頃。手元にある学術雑誌を精読し、新型インフルに関する情報をまとめてみた。 夏でも流行 熱帯のベトナムやインドネシアでも、季節性インフルは毎年普通に流行する。確かに、実験室レベルだとウイルスは高温多湿が苦手だが、飛沫が主な感染経路となると環境はあまり関係ない。 先祖はスペイン風邪 1918年のスペイン風邪流行時、ウイルスはブタに入って定着した。畜肉用途が多いブタは免疫が形成される前に世代交代するから、ウイルス自体は免疫から逃れるための変異を必要としない。だから、新型ウイルスはスペイン風邪当時の形質を保っており、当時を生きた高齢者に免疫が残っている可能性が高い(米国疾病対策センターの調査だと65歳以上の免疫保持率約30%)。 ブタ型 つまり、いま流行しているウイルスは完全なブタ型である。それでもヒトからヒトに感染するのだから、完全なヒト型に変異したら大変。第2派が怖い。ヒトの免疫から逃れるためにどんどん変異して拡大する。 高温好き 新型ウイルスは高温好き。肺炎になる患者が多いのは、35℃前後の喉より40℃近くある肺を好むから。 パラドックス ウイルスの目的が増殖と感染拡大だとすれば、宿主であるヒトには健康で歩き回って、周囲にうつしてもらわなければ困る。だからエボラのような死亡率99%ウイルスは、決して広がらない。ウイルスにとって、ヒトは病気だけど元気でいてもらいたい存在なのだ。 う〜ん、哲学的だな。 学習の結果、究極の予防グッズとしてダチョウマスクに行き着いた。ダチョウに作らせた抗体を卵から回収し、マスクにしみこませた抗体マスクである。20枚入り6720円。 開発者の京都府立大塚本先生に敬意を払いつつ、購入したのであった。
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