443.続・続・ダチョウマスク(2009.11.2掲載)
前号(第442号)で触れたダチョウマスク開発者の塚本先生を含む、日本男児3人の技を紹介したい。時節柄、インフルエンザ対策絡みである。 塚本康浩教授のマスク メスのダチョウに4種類のウイルス抗原を注射し、抗体量が最大になる2週間目以降に産卵した卵から抗体を取り出し、マスク素材の不織布にしみ込ませる。卵1個から得られる抗体は約4gで、マスク8万枚分(ダチョウは半年で100個産卵する)。 なお、マスクは乾燥状態だが、抗原抗体反応には水分の存在が必須。表面パリパリ、中しっとりの特殊な不織布を使用したことが成功のポイントである。 京都府立大教授とオーストリッチ・ファーマ社の代表取締役を兼務する塚本先生。ダチョウに囲まれるお姿は、ダチョウ博士の二つ名にふさわしい勇姿である。 岡野雅行代表の注射針 マスク着用と同時にワクチン接種で自己防衛。予防接種で「痛くない注射針」が使われる日を願う。 痛くない注射針とは、通常の半分サイズで蚊の針とほぼ同じ直径0.2ミリ(内径0.08ミリ)の注射針。糖尿病患者をインスリン注射の苦痛から解放する画期的商品を開発したのは、従業員6人の岡野工業を仕切る岡野代表。この加工を100社以上に断られたテルモ社の思いに、ステンレス素材の神業的プレス加工で応えたのだ。 ちなみに、小泉元首相も同社を訪問し「痛くない」と感嘆した。 ドクターYのツボ注射 岡野工業のスゴイ針はあきらめ、直径0.4ミリの「痛い注射針」を使いながら、全く痛くない注射を実践する内科医Y先生に神の手予防接種をしてもらった。Y先生はご近所の開業医だが、針治療の心得があるらしく、全く痛みを感じないツボを肘の外側当たりで探し、針を刺す。 「息を吸ってー、吐いてー、吸ってー、はい終わりました」 レントゲン撮影のような間合いだが、無痛のうちに注射完了。 いつ注射針が刺さったのか全くわからなかった。塚本先生や岡野代表に比べるとかなり身近な存在だが、私にとってはありがたい技だった。 子供のポケッに2万6千円をねじ込むより、このような匠の技を世界に知らしめ、日本を再生してもらいたいと思うのである。
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