469.総合診療(2010.5.10掲載)
またまたNHKがマニアックな番組を企画してくれた。BSハイビジョンで毎週月曜夜9時30分放送の医療系バラエティ、「総合診療医 ドクターG」である。 病名診断のエキスパートであるベテランの総合診療医がスタジオに登場し、4人の研修医と共に再現VTRで病に倒れる人の様子を観察しながらカンファレンス形式で病名を推理。そこにゲストのタレントさんが絡んでくるという誰をターゲットにしたのかわからない、けどかなりおもしろい番組だった。 4月19日の放送では、急なめまいで倒れ、手に力が入らず徐々にろれつが回らなくなるもCT画像には異常のない中年男性を、「小脳梗塞」と診断していた。カンファレンスの過程で診断に悩む研修医の姿が初々しかった。 臓器ごとの専門医がスーパードクターとして脚光を浴びる昨今であるが、救急現場で的確な病名診断を下す総合診療医の存在も不可欠。かつての町医者がドクターG(ジェネラル)として復権したのである。 学術的にも仕事的にも天と地の差はあるが、加工食品の開発現場も総合診療の連続である。他社の売れ筋商品を見て、食べて、分析して配合や加工方法、原価などを推理する。そして、ライバルより低価格な対抗品を作るのだ。 さらに、最近では賞味期限や消費期限の長さも診療ポイントの1つになっている。日持ちが長いとロス率が下がるため販売店は喜ぶし、消費者側にもストックできるというメリットが生まれるからだ。 ただ、ヒット商品には診断がつかないものが多い。なぜこんな低価格で売れるのか、なぜこの味が出せるのか、なぜ長期間品質が変わらないのか。 わからないからヒットするのかもしれないが、わからないでは済まされないのは医療現場と同じである。 小学生の頃、弟と同じタイミングで腹痛を発症し、町内のかかりつけ医に診てもらったことがある。2人の症状は同じだったが、弟は「風邪」、私は「食べ過ぎ」という診断だった。異なる薬を処方され、翌日には完治した。 総合診療は、なかなか奥が深いのである。 ================================================================ 「総合診療医 ドクターG」は、BS2で再放送ありです。
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