493.お値段以上(2010.11.1掲載)
日経BPコンサルティングが発表した「企業メッセージ調査2010」によると、メッセージから発信元の企業名が分かる「想起率」は、ロッテが9年連続でトップだった。「お口の恋人」というフレーズを聞いてロッテを想起した人の割合が、85.9%にも達したのだ。 社名の由来になったゲーテ作「若きウェルテルの悩み」に登場する永遠の恋人シャルロッテも、圧倒的首位を喜んでいるに違いない。 そして、圏外から2位に躍進したのがニトリの「お、ねだん以上ニトリ」で想起率71.8%。確かにCMのフレーズが頭から離れないし、実際に店舗で「お値段以上」であることを体感すると、さらにメッセージが刷り込まれる。 ランキング全体を見渡すと意外に食品メーカーが多く、上位20社中7社が食品、外食系だった。ロッテ、味の素、マクドナルド、カルピス、サントリー、永谷園、カゴメ。消費者にとって最も身近な存在といえる食品のCMは、親しみがあってわかりやすい企業イメージの伝搬を第一義としているのかもしれない。 だからけっこうダジャレ系のメッセージが多くなる。 味の素「あしたのもと」(想起率4位65.1%)、カルピス「カラダにピースCALPIS」(同10位39.7%)、食品以外でもファミリーマート「あなたと、コンビに、ファミリーマート」(同3位67.3%)、インテル「インテル、はいってる」(同20位25.9%)。そういや「お、ねだん以上」もダジャレ系だな。 不況でCMにコストをかけられない現状で「お値段以上の」認知効果を得るには、ベタなダジャレも必要なのだ。 幼時、小生に刷り込まれたメッセージは、アニメ「巨人の星」のスポンサーだった大塚製薬オロナミンCのCM「うれしいと眼鏡が落ちるんですよ(by大村昆)」。卵の黄身で割るオロナミンセーキに憧れつつ、星飛雄馬とのコラボCMを楽しんだ。 飛雄馬の名前の由来は、「ヒューマン」なストーリーにしたいという制作者の願いから。 ここにも、お値段以上のダジャレが息づいていたのである。 ================================================================ 企業メッセージ調査の出典は「日経MJ」2010年10月1日号です。
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