558.RICE療法(2012.2.27掲載)
最近、周囲で足を捻挫する事例が多発しており、哀しい昭和のメリケン粉湿布を思い出す機会が増えた。 幼時、捻挫といえばメリケン粉湿布だった。メリケン粉をお酢で溶いてベトベトにし、患部に塗りつけガーゼと包帯で固定。匂いがきつい上にネチョネチョして気持ち悪かった。工作の授業の石膏人形になった気分だった。 そして今、メリケン粉湿布どころかメリケン粉という単語自体が通じない時代になってしまった。メリケン粉といえばアメリカ産の上質な小麦粉で、国産小麦粉を表すうどん粉と対極をなす単語だった。「アメリカン」を「メリケン」とヒアリングしたことに由来するから、メリケン波止場もメリケンサックも由来は同じだ。 ところで、1日に2万件の捻挫が発生する米国でも推奨されている応急処置法に、小麦粉ならぬ米(RICE)という療法名が付けられていることをご存知だろうか。Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字でRICE。この処置を受傷直後から24〜72時間行うと、炎症や腫れを最小限に抑え、痛みが和らぐとされている。 まず「安静」。同時に、氷や氷水で皮膚の温度が14〜20℃になるまで「冷却」する。20分程冷やし続けると関節内が4℃下がるとされており、代謝が低下し、炎症が鎮静化して痛みが軽減する。そして、うっ血しない程度に患部を末梢から中枢に向かって包帯などで「圧迫」。最後の「挙上」は、帰宅後横になり座布団などを敷いて足を心臓より高い位置に上げることである。 3日間のRICE療法で患部の痛みや腫れは治まることが多い。 戦後、国策として大量のメリケン粉を日本に送り込んだ米国。日本も米を基軸にした農政で農業の復活を図らなければならない。 まさに「RICE療法」なのである。 ================================================================ RICE療法情報の出典は、日経メディカル2012年2月号です。
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