759.マイクロ波ロケット(2016.2.29掲載)
昨年末、「スターウォーズ/エピソード7」を観るついでに、エピソード1〜6を通しで鑑賞してみた。 過去作を見て感心したのは、第1作エピソード4(1977年)の特撮レベルの高さ。全く古さを感じないし、ほころびもない。同時代の特撮の雄であるウルトラマンがかわいそうになってしまった。 かつて、ウルトラマンがハリウッドに進出しようとした際、「ウルトラマンの体表面は、皮膚かスーツか?」という先方の問いに円谷プロが答えられず、進出を断念したという逸話を聞いたことがある。たぶん、このこだわりの差なんだろうな。 そんな、スターウォーズに登場しそうなロケットが、エスケープ・ダイナミクス社でテスト中である。それは「マイクロ波ロケット」。 そもそも、現在のロケットは重量の90%が燃料と推進剤で占められており、乗り物としては極めて非効率。ロケットの種類によって異なるが、貨物1kg当たりの輸送コストが50万円〜500万円もかかってしまうのだ。 この問題を解決すべく、ロシアの科学者ツィオルコフスキーが1924年に提案したのが地上からのマイクロ波ビームの照射。このアイディアは長らく日の目を見なかったが、最近になってようやく技術が追いついてきた。 まず、地上に設置したマイクロ波の発信機「ジャイロトロン」からメガワットオーダーのマイクロ波ビームをロケット腹部の熱交換器に当てる。熱交換器はマイクロ波のエネルギーを吸収し、液体水素などの推進剤を数千℃まで加熱。ポンプによって圧縮されて押し出された推進剤はノズルから噴射され、ロケットは飛び立つ。 発射後も、ロケットの飛行経路に沿って設置されたジャイロトロンがマイクロ波を照射し続け、ロケットの速度を押し上げて周回軌道に乗せる仕組みとなっている。 このロケットが実用化されると、貨物スペースが10%から30%に広がると同時に、機体がスターウォーズのようになる。つまり、大量の燃料を詰め込んだパーツを切り離しつつ先端部分のみが軌道に乗る多段式ロケットではなく、再利用可能なおしゃれなスペースプレーンが完成するということ。 現在2000万円といわれる宇宙旅行の費用、燃料システムの開発で200万円くらいになる日を待ちわびるのである。
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