760.男のロマン(2016.3.7掲載)
先日ある高校で出前授業をした際、「夢を叶えることと自己実現の違いは何か」という質問を受けた。難問である。 自己実現とはマズローの5段階欲求の最終段階で、生理的欲求→安定→親和→承認→自己実現。 で、どう答えたか。 「例えば、ピアニストになりたいという夢が叶わなくても、就職した会社のパーティーなんかで演奏し、社会人ピアニストとして高い評価を受けてギャラももらえ、20年間の鍛錬が報われること」 う〜ん、ちょっと違う気もする。 そんな難問のヒントになりそうな「男のロマンのかなえ方」という特集記事を、ある雑誌で見つけた。今まで諦めていた子供の頃の夢を、大人になって実現したという3つの事例の紹介である。 ツリーハウスの住人になる…子供のころに胸躍らせた「秘密基地」の樹上版。6畳のハウスなら、450万円くらいの費用でできる。地面に固定されていないから固定資産税不要というおまけつき。 無人島で気ままに暮らす…誰と移住して何を持っていくか、妄想が尽きない無人島暮らし。2000万円台で買える物件もあるらしいが、流動性の低さから現金購入が基本でローンは無理。 クラシックカーを乗り回す…乗り回す時間より修理している時間の方が長いかもしれない。おしゃれな俳優さんにはクラシックカー好きが多いから、究極の道楽かもしれない。 この3つ、私はあまりピンとこなかった。ひと言で言ってしまえば「大人買い」じゃないか。それなら自身の願望だった、「腹一杯エンゼルパイを食べる」「プラモデル屋を買収する」なんてネタもエントリーできる。 次の授業では、「自己実現とは、大人買いできる身分に到達すること」なんて極論をぶちまけてやろうかと思った次第である。
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