789.大陸移動説(2016.10.3掲載)
高校に入学したばかりの頃、退屈な地理の授業の中で「ヴェーゲナーの大陸移動説」だけは楽しく聞き入っていたような気がする。 世界地図のアフリカ東海岸と南米西海岸をつなげて、「なるほど」と。 「朧夜のベッド大陸移動説」 仲寒蝉 地球は中心核が高温、表層は低温だから中心と表層の間のマントルで熱対流が生じ、このマントル対流によって地球表層を構成するプレートが移動する。 仲寒蝉先生の作品は、数億年のスケールを朧夜のベッドに落とし込んだ名句。先生は寝相が悪かったのかな。 ところで、このままマントル対流が続いたとして、現在の6大陸はどうなるのか。海洋研究開発機構の吉田博士は、表層プレートとマントルの動きをスーパーコンピューターで数値シミュレーションし、2億5000万年後に北米大陸とユーラシア大陸などが合わさった巨大な「超大陸アメイジア」が形成されると発表した(アメイジアとはアメリカとアジアを合わせた造語)。 10万年刻みのシミュレーションによると、ユーラシア大陸は北半球にとどまり続け、南米と南極大陸もあまり動かない。一方、オーストラリア大陸はインドネシアの島々とともに速いペースで北上して日本列島に近づき、ハワイ諸島も太平洋プレートに乗って日本に接近。 1億5000万年後には、日本列島はユーラシア大陸とオーストラリア大陸に挟まれ、ハワイともくっつく。そして、2億5000万年後には北米大陸の北東部が北極海を横断してシベリアと接し、超大陸アメイジアとなるのだ。 またまた地理の授業がおもしろくなりそうだ。 「短夜や大陸少しずつ動く」 桐木知実 桐木さんは松山東高校の3年生で、掲出句は第19回俳句甲子園全国大会の優秀作品。 いつの時代も大陸移動説はロマンを掻き立て、一夜の思いに結実するのかもしれない。
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