788.第2の皮膚(2016.9.26掲載)
先日、親戚の生後6ヶ月の赤子に触れる機会があったのだが、そのみずみずしくもぷにぷにの肌に改めて感動した。 コラーゲンが透けて見えそうな透明感と、引力に逆らえそうなハリ。ボトックス注射で小細工する芸能人がむなしく思えてくる若さだった。 そんな、赤子に嫉妬する詮なきオジサンに朗報が飛び込んできた。マサチューセッツ工科大学のLanger博士らが、塗るだけで皮膚のたるみやしわを解消してくれる画期的なローションを開発したのだ。 そのローションはシリコーンでできていて、分子量や網目構造の密度、補強材として使用するシリカ粒子の濃度などを調整しながら、物性を実際の皮膚に合わせたすぐれモノ。 まず、若返らせたい部位にシリコーンが主成分である第1ローションを塗る。次に、第2ローションを重ね塗りすると、2液に含まれる白金触媒の作用でシリコーンが架橋され(網目構造になり)、厚さ40ミクロン程度の第2の皮膚が形成され、違和感なく肌になじむのだ。 パーマ液みたいな反応機構だが、パーマと違うのはこの間2〜3分という驚異的スピード。持続力は16時間だから1日1回塗ればいい。もちろん、皮膚呼吸は可能だし、かゆみも発生しない。 論文で塗布前後の写真を見たが、しわとたるみが消え、20歳分くらい年齢が逆行していた。ものすごい効果である。 冒頭で触れたボトックス療法は、筋肉弛緩作用があるボツリヌス菌の毒素を皮膚に注入し、弛緩することでしわをのばすという命がけの若返りだが、シリコーン療法は高分子化学と触媒化学を融合させた無機化学的若返り。 発売されたら絶対に買う。 かつて、秦の始皇帝の命を受けた徐福が日本に求めた不老長寿の妙薬。 2300年の時を経て、まずは「美肌薬発見」なのである。
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