843.5秒ルール(2017.10.30掲載)
昔は、駄菓子を床に落として「3秒以内でセーフ」なんて言いながら気にせず食べていた。 いや、昭和の舗装してない道に落とした時だって平気で「セーフ」だった。 そんな3秒ルールが人気ドラマ「相棒」でネタにされていた。シーズン15の最終回、内村刑事部長(片桐竜次)が副総監(大杉漣)から饅頭を勧められるシーンでのこと。 その際、緊張した刑事部長が饅頭を床に落としてしまったがすぐに拾い上げ、「3秒以内だから大丈夫」と言いながら頬張ったのだ。 ネタとして3秒ルールを入れた意図は不明だし、その後の展開とは一切関係なかったが、私が作家なら右京さんに英国の5秒ルール研究を紹介させるんだけどな(英国は3秒ではなく5秒がスタンダードらしい)。 英アストン大学の研究者らは、「落下後ほんの数秒で回収された食物は、より長時間放置されていた場合に比べ、細菌を含んでいる可能性が低い」と報告している。 また、「カーペットを敷いた床面からは細菌が食物に最も移りにくいが、湿気のある食物が合板やタイル張りの床面と5秒以上接触すると、細菌が食物に付着する可能性はずっと高くなる」との記述もある。 要するに、5秒ルールが裏付けられたのだ。 ところが、その2年後に発表されたラトガーズ大学の論文では、「エンテロバクター・アエロゲネスの床面からの転移を調べたところ、接触時間が長くなるほど転移が多くなるものの、一部の転移は1秒未満の瞬く間に起こっている」と5秒ルールを反証した。 まぁ、一流大学が目くじら立てて論争するテーマでもないのだが…。 こんな風に、何でもかんでも科学的に検証したがるのは理系のさがである。曖昧なままだと落ち着かないのだ。 けど、真理は時に残酷だし、追究しない方が幸せな場合だってある。 例えば、同級生A君の家では15秒ルールが運用されていた。 「なんで15秒なの?」 「なんせ、家計が苦しいもんで」 相棒のオチにいかがでしょう。
\\\\
|
column menu
|