852.事八日(2018.1.15掲載)
今年の正月は、クルマのしめ飾りと門柱の国旗掲揚を例年以上に多く見かけた気がする。平成の終わりが見えてきて、改めて昭和ノスタルジーが盛り上がっているのではないか。 ならば、年末年始の行事をもっと掘り下げてみよう。 農耕が中心だった私たちの暮らしは、12月8日を農事の終わり「事納め」とし、2月8日の始まり「事始め」と合わせて「事八日(ことようか)」と呼んだ。 この2ヶ月の間に休息を取り、柚子湯に入り、年神さまをお迎えして鬼を払うのである。 年神さまが家々に間違いなく辿り着けるように門松としめ飾りを準備し、鏡餅とおせち料理で年神さまをお迎えする。一緒に食べるから、おせち料理の箸は両側が細くなっている「両口箸」。 年神さまは大晦日の夜、全員に「年餅」を配る。もらった瞬間に全員が1つ年を取る。これが「数え年」であり、この年餅がお年玉の起源といわれている。 年神さまとの交歓は、家族全員でにぎやかに行う。仲良く睦み合うから1月は「睦月」。 しかし、現代の年末年始は夫婦喧嘩の頻発期。気を遣う旦那の実家で酔いつぶれようものなら、奥方は即爆発。 隣のご主人も口げんかの果てに奥方様にフライパンで殴られ、額を3針縫った。年が明けても傷口がくっつかないから心配して事情を聞いてみると、「テフロン加工のくっつかないフライパンだった」…という春風亭小朝師匠の小噺を聞いたことがある。 そして、2月最初の午の日「初午」に開運を祈願していなり寿司を食べる。穀物の神様である稲荷大神が京都の伏見稲荷に鎮座された日らしい。今年は2月7日。恵方巻きに浮かれている場合じゃないぞ。 こんな感じで、極寒期を乗り切る趣向満載の2ヶ月間。 まずは胃を休める七草粥から始めるつもりである。
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