875.1975年の食卓(2018.6.25掲載)
理想の和食は1975年の食卓にあったといわれている。 その頃の和食は「欧米食に偏った高脂肪の食事」と「塩分の高い白めし中心の粗食」の中間にあり、「多少欧米化した和食」という、いいとこ取りのバランス食だった。 1960年頃の粗食は、山盛りの白めしに佃煮、焼鮭、漬物、みそ汁。これでは胃がんと高血圧でくたばってしまう。それが、1970年の大阪万博をきっかけに食卓に欧米食が入ってきて品数が増え、栄養バランスが整ったのだ。 我が実家の欧米食は、マヨネーズくらいだったけど…。 東北大学の都築博士は、マウスに各年代の食事を混合粉砕して投与し、8ヶ月間の飼育実験を行った。 その結果、1975年の食事をエサにしたマウスが最も代謝が活発になり、内臓脂肪が少なかった。逆に2005年食のマウスは人間に換算して8kgも体重が増加したのだ。 このことは厚生労働省の調査結果と合致する。成人男性の肥満割合は1975年の17%に対し、2005年では30%に増加。 ところが、1975年の総摂取カロリーは戦後最大の1日2226kcal。逆に2005年は1904kcal。つまり、1975年の和食はたくさん食べても太らないダイエット食だったのだ。 これはすごい。古来より、大陸の文化や欧米の技術を柔軟に取り入れ、自国の繁栄に繋げてきた日本民族の真骨頂ではないか。なんとか40年前の食卓を再現できないものか。 まずは給食からということで、農林水産省の「和食給食応援団」活動に参画している。現在、給食における米飯登場回数は平均3.4回/週、和食回数となると、1.8回/週に下がる(ここでの和食の定義はご飯+汁物)。 この回数を増やす取り組みをしているのだが、「和食給食はお残しが増える」という残念な事態をまず解決しなければならない。給食の和食はおいしくないし、食べ慣れてないから残すというのだ。 クリームシチューがどうしても食べられなかった自身の小学生時代と真逆ではないか。 そんなことをひとりごちて、今日も「だしの出前授業」に励むのである。
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