877.平方根(2018.7.9掲載)
7月2日は「1年のへそ」にあたる日らしい。 1年のちょうど真ん中折り返し。ついでに、あまり役に立たないかもしれないが、元旦と7月2日と大晦日は同じ曜日になるという小ネタもある。 とにかく、あっという間の折り返し地点。年を取るほどに時間の経過が速くなるのは物理的にも哲学的にも情緒的にも仕方のない摂理であるが、それにしても速い。 かつて、京大の森毅先生が「変化は時間の平方根に比例する」と語っていた。つまり、49歳(7の2乗)の次は一気に64歳(8の2乗)に変化してしまうというのだ。 こんな超加速時代だからこそ、ゆっくりとした時間を閉じ込めた商品がヒットするのではないか。ゆっくり作ってゆっくり味わう発酵食品や熟成商品。時間をかけてかび付けするかつお節の「枯節」もその代表格。 テレビドラマも展開が早すぎる現代のサスペンス系の逆を張り、ゆっくりまったり長回しの癒し系はどうか。イタリア映画みたいに。 いや、映画に走らなくても昔のテレビドラマを見ればいい。驚くほどゆっくり展開する。 例えば、「3年B組金八先生」の第1シリーズ。たまたま20話「卒業十日前の初恋」の再放送を見たのだが、まったく話が動かなかった。 悦子先生(名取裕子)に恋をした沢村正治(田原俊彦)は、誰もいない自宅で一人物思いにふける。BGMは、オフコースの「さよなら」。そのフルコーラス分、ずっと同じシーンが続く。これはすごい。トシちゃんのプロモーションビデオよりすごい。70年代のドラマはこんな風だったのか。アナログで、スマホもメールもなかったあの頃は、こんなにも時間がゆっくり流れていたのか。 金八先生がスタートしたのは1979年。つまり今から39年前。遠い昔のような気もするが、平方根で考えるなら6.24年前だからついこの間だ。 時間は不思議である。 2018年を折り返すにあたり、時間を平方根で考えなければならないと心に誓うのである。
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