918.衛生仮説(2019.5.6掲載)
私は幸いにも花粉症ではないが、周囲を見渡すと今年は例年以上に症状が激しい気がする。 ウェザーニュース社の調査によると、年々増加の一途をたどる花粉症の罹患率は全国平均で58%。罹患率1位の山梨県に至っては77%にも上る。花粉症なんて昔はなかったのに。 花粉症の増加は、体内から寄生虫がいなくなったからだとか、衛生環境が改善されキレイになったからだなどとよく言われるが、このような考え方を業界では「衛生仮説」という。 そこで、この衛生仮説を研究する京都大学医学部白川先生のレポートを紹介させてもらう。 1958年3月生まれの英国人1万7千414人を調査…年上の兄弟がいると、11〜23歳時における花粉症および1歳までの湿疹の有症率が低い。 イタリア空軍士官学校で17〜24歳の学生を調査…A型肝炎ウイルスに感染した群では、アレルギー性鼻炎の頻度が低い。 和歌山県中部の中学1年生を調査…ツベルクリン反応陽性の学童は、アレルギー性鼻炎や湿疹の有病率が低い。 イギリスの学童を調査…2歳までに抗生物質を経口投与すると、その後のアレルギー発症率が増加する。 そして、マウスの実験…寄生虫に感染したマウスは、非感染マウスに比べてアレルギー症状が軽い。 つまりは、大家族で不衛生で薬に頼らない田舎暮らしがいいということか。事実、先進国でも途上国でも、家畜と触れ合うような農村地方に住む小児はアレルギーの有症率が低いという。 では最後に食生活。これは、やはり食事の欧米化が原因。典型的な欧米食にはリノール酸が多く含まれる。リノール酸は、体内でアレルギー症状を引き起こすロイコトリエンやトロンボキサンに変換してしまうのだ。 そこで魚。ご存じEPAやDHAは、抗アレルギー作用を持つ。 長男でA型肝炎じゃなくツベルクリン反応陰性の私は、せっせと青魚を食べる毎日なのである。
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