922.孤独の処方箋(2019.6.3掲載)
孤独を愛する男、高倉健、ゴルゴ13、ショーケン、ついでに松重豊。 日本において孤独は美学であり、群れない生き方に憧れる日本男児の行動は文化ですらある。 それを全否定するような新たな大臣ポストが英国で誕生している。「孤独担当大臣」。国を挙げて孤独対策に本腰を入れるというのだ。 どうやら孤独は病気らしい。 米国ブリカムヤング大のホルトランスタッド教授によると、孤独には次のようなリスクがあるという。 @1日にたばこ15本喫煙に匹敵 Aアルコール依存症に匹敵 B運動をしないことよりも悪い C肥満の2倍悪い。 逆に、社会的なつながりを持つ人は孤独な人に比べて早死にするリスクが半減する。だから、孤独の解消が医療費の削減にも貢献する。その額、英国で年間4.9兆円。 1人暮らしが全体の3割以上を占める日本。非婚化も進行し、50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合は、男性の25%、女性の15%。 もちろん、1人暮らしや独身イコール孤独というわけではないが、OECDの調査によると、友人、同僚、その他コミュニティーの人と「ほとんど付き合わない」の割合が、日本は加盟国中でトップとなっている。 特に男性、さらに言えば男性高齢者が断トツトップ。なんとなくわかる。日本人は、年齢を重ねるごとに主観的な幸福度が下がる、世界的に珍しい民族なんだ。 ではどうすればいいか。英国では孤独な男性が集まり、地元の小学校の依頼でベンチを作ったり、子供たちに工作を教えたりして人の役に立つ機会で孤独を解消。また、誰かの孤独を癒すことが自分の孤独を癒すことにつながるという考え方で、高齢者の孤独対策を高齢者ボランティアが担ったりもする。 けど、やっぱり孤独が悪だなんておかしい。健さんだって83歳まで生きたじゃないか。いや、多くのファンに囲まれていた健さん。意外と孤独じゃなかったのかな。 もう少し、孤独について考えてみるつもりである。
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