933.小さいこともいいことだ(2019.8.26掲載)
最近、野菜市場拡大戦略の一環として、中食や外食でミニ野菜を多く見かけるようになった。 「ほっこり姫」「プッチーニ」に代表されるミニカボチャや「ペコロス」「パールオニオン」等のミニ玉ねぎ。「ピッコロ」「パックン丸」なんてかわいい品種のミニ人参もある。 ミニ野菜は、わい化剤と呼ばれる農薬で成長を抑える手法でできるが、交配で大きくならない品種を開発する方がイメージはいい。 女性客に「かわいい〜」と言わせるための戦略が種苗メーカーを動かし、世界最先端の交配技術が遺伝子を動かすのである。 これまで、とにかく大きく実らせることを主眼に置いて発展してきた農業だが、「かわいい路線」への軌道修正で次世代の活路を見出している。 ふと、ミニ野菜を見ていて、ジャニーズのタレント戦略を思い出した。 かつて経営危機にあったジャニーズ事務所が見事復活したのは、1979年の10月にスタートした「3年B組金八先生」から。この番組でデビューした「たのきんトリオ」に続き、「シブがき隊」「少年隊」「光GENJI」と、ジャニーズの80年代が幕を開けたのである。 ここでのジャニーズの戦略は、「女性や子供に受け入れられやすい、小柄な美少年」。70年代までは、石原プロを中心に大柄な俳優が主流だった。映画全盛期は、大きなスクリーンで映える大柄俳優が好まれたのだ。 しかし、テレビ時代においては小さな画面に収まる小柄な美少年がいい。女優とのツーショットも、フレーム内にうまくはまる。テレビ時代に合わせたジャニー喜多川社長のミニ戦略が見事に当たったのである。 1967年に「大きいことはいいことだ〜」と山本直純氏が絶叫した森永エールチョコレートのCMが懐かしい。 さまざまな分野で「かわいい〜」ことがよくなってしまった今日この頃。小さいこともいいことなのである。
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