934.ポジティブ(2019.9.2掲載)
人生ポジティブにいこう、とはよく言うが、ポジティブ思考が本当に体に良いかどうかは実はあまりよくわかっていない。 怒りや悲しみなどのマイナス思考が免疫力を低下させることは知られており、くよくよしない気楽な生き方が長寿の秘訣と言われているのに…。 そこで、ケンタッキー大学のダナー教授らは、1930年代に修道女会に入った180人を対象に調査を行った。 存命の人もいれば既に亡くなった人もいる彼女たちが20代前半に書いた日記を詳細に調べ、「うれしい」「幸せ」などのポジティブな言葉の出現頻度と寿命の関係を調べたのだ。 寝食を共にし、皆同じような生活パターンを送る修道女たちの寿命を分ける唯一の違いは、日記に書かれたポジティブな言葉の割合だけと考えたのだ。 遺伝的要因を無視した手法は少々強引だが、調査結果は「ポジティブな言葉の割合が多い人は、そうでない人に比べて約10年寿命が長い」だった。 このデータを見て黙っていられなくなったのが、スタンフォード大学のターマン教授。なんと、1921年に10歳前後だった子供たち1600人を、80年間も追跡していたのだ。もちろん、開始当時から子どもたちの性格も調べつくしていた。 その結果、楽観的で社交的な人ほど「まあ大丈夫だろう」と過度に楽観的で慎重さに欠けて不健康になっていたし、小さい頃から学校の人気者だった人なんかも付き合いが良すぎて酒やタバコで早死にしていた。 要するに、ポジティブは短命だったのだ。 確かに、自身の小学生時代を思い出してみても、おしゃべりなお調子者ほど身を持ち崩したり、ダークサイドに落ちたりして行方知れず。 人の話にじっくり耳を傾け、コツコツまじめに人生を重ねた人が天下を取り、長寿を獲得していたということだ。 やっぱり最後に勝つのはコツコツか。 小学校2年生の休み時間に、「アッと驚くタメゴロ〜」とか「ゲバゲバピー」とか言って教室を盛り上げていた昔日の汚点を思い出し、ちょっと暗くなってしまった秋の夕暮れなのである。
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