989.はなっこりー(2020.10.5掲載)
NHKの情報バラエティ番組で、ダーウィンの進化論を取り上げたことがあった。 ヒトの耳上部にある微少な突起は人類の祖先であるネズミ系哺乳類の耳の名残(ダーウィン結節)、ダーウィン夫人の実家は陶器のウエッジウッド社である等の小ネタに続き、核心の進化論へと話が展開。 ダーウィンが唱えた自然選択説をわかりやすく説明するため、イヌの人為選択を例に挙げていた。 1万5千年前にオオカミから分化したとされるイヌが僅か数千年の間に337犬種(公認種)にまで広がったのは、ペットビジネスという強力な選択圧があったから。すなわち品種改良。対して人間が介在せずに起きる選択が自然選択。すなわち進化ということである。 家畜や農作物の歴史は、人為選択の歴史でもある。野生のイネは収量がかなり悪く、野生のキャベツは苦い。 そして、収量や味の面での品種改良が限界に近づいてきた今日、農作物の人為選択は、新たな品種づくりへと発展。ベンチャー企業の参入もあったりして、今まで地味だった農学部育種学講座がアグリビジネスの寵児となっている。 新種の野菜を紹介する。 はなっこりー…山口県農業試験場作。1999年品種登録。中国野菜の菜心とブロッコリーを交配させた菜の花のようなブロッコリー。年間出荷量150トン。 なかみどり…栃木県農業試験場作。2000年品種登録。ネギとニラを交配。根元はネギで、葉先はニラ。鉄分はネギの2倍。 トマピー…日本農研作。2002年品種登録。トマトのようなパプリカ。ピーマン臭の原因である2−メトキシ−3−イソブチルピラジンが少なく、ピーマン嫌いの子供におすすめ。 グラパラリーフ…アグリアシストジャパン作。2005年品種登録。アロエが食用になることをヒントに、ベンケイソウ科の観葉植物を食用に品種改良した変わり種。単品で1億5千万円を売り上げる商品に育った。 フレンチレストランが野菜にこだわる今日、しっかり新種を勉強し、ヒトの人為選択に耐える人物にならねばと思うのである。
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