24. あやしい響き (2001.07.02掲載)
カフェイン。この響きは何かしらあやしい。小学生の頃、寝床についた途端、隣の部屋の両親のひそひそ声が障子の隙間から蛍光灯の明かりとともに漏れてくる。そんなイメージに包まれた、身近でありながら結構あやしい言葉である。大人になったら、黒い服に身を包んだギャング風の人からカフェインを貰うことができる・・・。てなことを考えていたかどうかは定かでないが、小学生当時、この言葉にある種の憧れを抱いていたことは間違いない。 ところでこのカフェイン。コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶などに含まれ、毎日のように口に入れているにも関わらず、いまひとつイメージがよろしくない。おそらくは、眠れない、習慣性があるといった症状に由来するものだと思うが、オックスフォードに本部を置くコーヒー科学情報センターは、「日常のコーヒー飲用レベルにおいてカフェインの健康への影響はない」という公式見解を出している。常識の範囲内であれば体に悪いことはないということだ。 悪いどころかプラスに働くことだって多い。眠気を覚まし集中力を高める効果は、深夜の物書きを睡魔から救う。 また、あまり知られてないが、スポーツをする前にカフェインをとると皮下脂肪が優先的にエネルギー源として使用され、ここ一番のためにグリコーゲンを温存することができ、普段の二、三割増のパワーが出るのである。ただ、カフェイン摂取は当然ドーピングの問題と絡んでくるため公式競技の場合は注意しなければならないが、草サッカー、草野球、草マラソンの前に緑茶を二、三杯というのであれば何の問題もない。 ところで昭和五十年代半ば頃、当時全盛だったピンクレディーが「ウーロン茶でやせた」というようなことを言い、ウーロン茶ブームの火付け役となったことを思い出した。これも、カフェインによる皮下脂肪の消費に起因することだと思うが、それならば緑茶でも、ブラックのコーヒーや紅茶でもいいわけだ。 適量だと体にいいということだが、ドーピングや、ピンクレディーが連想されるあたり、このカフェインってやつは、やっぱりあやしい。
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